絆(きずな)2023年版・第23号 その3

大和の兜

埼玉県さいたま市
前佛 大和(ぜんぶつ やまと)くん
(令和三年五月二十七日生)


令和三年五月二十七日、その年の端午の節句が終わって間もなくして息子は誕生しました。お腹の中にいる時から私の両親が、兜をプレゼントすると張り切っていました。雛祭りが終わり、兜選びを始める時期になると、夫の両親からも兜を贈りたいと言ってもらい、その際、前佛家は上杉謙信の末裔かもしれないという話が出ました。真偽ははっきりしませんがせっかくなので、上杉謙信の兜にしようと何軒もお店を巡って探しましたが、なかなか惹かれるものに出会えませんでした。そんな時、カタログで吉德大光「覇気」を見つけ、吉德浅草橋本店へお邪魔することになりました。
その日は大安吉日で、多くのお客さんで賑わっていました。兜の元へ行くと、実物はカタログ以上の迫力で圧倒されました。店員さんから兜に関する解説を丁寧にして頂き、ますます気に入り購入を決めました。(実は、店内には他にも素敵な兜が多く、せっかくなので見て回ると、もう一つ魅力的な兜を見つけ、私たちは一時間半二つの兜の前を行ったり来たり。今となっては笑い話です。)
兜が届き、息子を抱っこしながら「やまちゃんの兜だよ。かっこいいね。」と話しかけている夫の姿を微笑ましく見ています。兜はいつまで飾るという決まりはないとの事で、気が早いですが、息子が成人した後も健康と幸せを願って飾り続けたいねと話しています。
(母・前佛 佳代 記)


祐太の五月人形

東京都板橋区
細谷 祐太(ほそや ゆうた)くん
(令和三年六月十一日生)


令和三年六月十一日、細谷家待望の第一子祐太が誕生しました。一七六一gと小さな男の子で、三十八日間の入院となりました。コロナ禍での入院だったため息子とは一日一時間しか会うことができず、不安やさみしさを感じる事もありました。そんな息子もすくすくと育ち現在ではよく笑い、よく動き、よく食べ、元気な姿で私たち家族を喜ばせてくれています。
五月人形については夫が東北出身であることと、困難があっても負けずに大きく育って欲しい、との思いを込めて伊達政宗公の兜を探していました。複数のカタログを見ている中で気になる兜があったため、家族で吉德浅草橋本店へ伺いました。残念ながらカタログで気になっていた兜と同じものはなかったものの、担当してくださった店員さんが丁寧に説明してくださったため、購入を決めました。
自宅に届いた兜は想像以上に素晴らしく、これからも息子を守り続けてくれそうです。これからも息子の健やかな成長を願い大切に兜を飾っていきたいと思います。
(母・細谷 樹里 記)


桜満開の初節句

北海道札幌市
出口 竜乃介(でぐち りゅうのすけ)くん
(令和三年九月二十日生)


令和三年九月、待望の長男、竜乃介が誕生しました。初めてのお正月に「初節句の鯉のぼりや五月人形はどうするの?」という義母の質問に、五月人形とは何でしょうとは言えず「考えておきます」と私。実家が田舎で、大きな鯉のぼりはありましたが、五月人形とは縁がありませんでした。調べてみると子の健やかな成長を祈りお守りとして飾る鎧や兜とのこと。ベランダや庭のない我が家に最適でした。大きさや形は様々あり、自分好みの鍬形や色、調べ出すと止まらない。実物が見たい。しかし店頭にはまだ僅か。しばらく写真と睨めっこする毎日でした。
待ちに待った三月、大雪の中、吉德札幌店に伺い、一通り案内された後「気になるものはございましたか?」と聞かれ平安道斎作の兜飾りを指さすと、店員さんの一推しだったようで、この飾りの良い所を細部まで丁寧に教えてくださいました。知識豊富で人形愛がにじみ出ている方だったので、好みが合って嬉しくなりました。一度家でゆっくりと検討するつもりでしたが、居ても立っても居られず、その日のうちに再来店。「首を長くしてお待ちしておりました。」と歓迎され、我が子の五月人形が決まりました。
五月人形初心者でしたが、吉德札幌店での素敵な出会いを機にお気に入りの兜飾りを準備することができました。子の健やかな成長を願う気持ちは、私の鯉のぼりから息子の兜飾りに引き継がれています。五月の桜満開の下、我が子は初節句を迎えました。
(父・出口 辰弥 記)


聡太の健やかな成長を願って

千葉県富里市
鹿島 聡太(かしま そうた)くん
(令和三年十月八日生)


令和三年十月八日、長男聡太が誕生しました。私は三人姉妹で、五月人形にはご縁がなかったので、息子の初節句を迎えるにあたり、どんな五月人形を選ぼうかワクワクしていました。しかし、色々なお店を見に行ったものの、ピンとくるものには出会えませんでした。
そんな時に、母が聡太に五月人形を贈ってあげたいと言ってくれました。私たち姉妹の雛人形は、祖母が贈ってくれた吉德の立派な七段飾りで、幼い頃から毎年華やかな雛人形を飾る時期を心待ちにしていました。母と夫と相談し、息子の五月人形も思い入れのある吉德で選ぶことに決めました。本当は一緒に選びに行きたかったのですが、コロナ禍に息子を連れて遠出するのは難しく、母にお任せすることになりました。
浅草橋本店へ足を運んだ母は、ビデオ通話をしてくれ、お店の方のおすすめを何点か見せてくれました。その中で、落ち着いた色合いにオレンジ色の映える、凛々しい雰囲気の五月人形に惹かれ、我が家へ迎え入れることとなりました。初めて実物を見た時には、画面越しに見る以上に迫力がありかっこ良く、とても感動しました。
四月末には、両家揃って初節句のお祝いをしました。素敵な五月人形に見守られながら、表情豊かになってきた聡太を囲み、笑顔あふれる時間を過ごすことができました。これからも、息子が幸せいっぱい元気に成長していけるよう願いを込めながら、毎年大切に五月人形を飾りたいと思います。
(母・鹿島 悠希 記)


二つの偶然

東京都三鷹市
池田 将真(いけだ しょうま)くん
(令和三年十月十一日生)


かれこれ二年前。長女の初節句でお世話になったのが、吉德・浅草橋本店でした。当時、お雛様のルーツや毎年飾る意味合いを教えていただき、ずっと大切にしたいお人形に出会えました。
そして二年四か月後に、長男が誕生。「今回も吉德で選びたい」と決めていたのですが、下見で訪れた際、四姉妹で育った私には五月飾りはあまり馴染みがなく、圧倒されるばかり。その中でも「これが良さそうかな…!」とスマホで一枚だけ写真を撮り、その日は帰宅しました。
後日、主人の両親と改めて店舗に伺い、二年前に担当いただいた方にお話を伺うことができました。数分話しているうちに満場一致で「これだよね」となったものが、偶然にも下見の際に唯一写真を撮った鎧兜でした。これが一つ目の偶然です。さらに、二つ目の偶然は、二年前に購入した娘の雛人形と全く同じ場所に飾ってあったこと。この二つの偶然に、運命を感じざるを得ませんでした。
親になり、春夏秋冬の年中行事にさらに興味を持てるようになったのは、幼い時に両親が四季を重んじながら育ててくれたからだと、今になって感謝の気持ちが増しました。
子供の人数が増えて賑やかになって迎えた長男・将真の初節句。このかっこいい鎧兜が身体を守ってくれますようにー、という願いを込めて、毎年温かい気持ちで大切に飾りたいと思っています。
(母・池田 彩香 記)