吉徳について
ご挨拶
人形は顔がいのち
「人の顔は、履歴書である」とは、よく言われる言葉です。経験や年齢を重ねる中で、顔にはその人の「心」がおのずと表情となって現れます。
また、人の顔と同様に、精魂込めて作られた人形は、
家族を育むやさしい父母の願いや、清らかな愛に満ちた人々の思い、すなわち「心」を鏡のように受けとめ、映し出します。
それがすぐれた人形の表情であり、だからこそ「人形は顔がいのち」なのです。
吉徳は、吉徳の人形を愛し、これを育てて下さる
お客様一人一人の「心」を大切にしたい…そんな気持ちを込めて、創業以来三百余年、一貫した姿勢で人形を創っている会社です。そして今、21世紀の現代、いま吉徳は新たなスタンスに立っています。
良き人形店であり、また優れたドールメーカーであるためには、しにせの名に安住することなく、企業としてのさらなる創意工夫がきびしく求められます。
言い換えれば、それは日本の美しい伝統を重視しながらも、時代を確かに読み取る先見性を持つことでしょう。
日々移り行く社会、それに伴う人々の嗜好の推移、また生活空間の変化などをいち早く捉え、常に新しい切り口でこれに応えていくこと──それこそが吉徳の新しいスタンスです。そのためには、常に進取の気性に満ちあふれる元気な会社でありたい。私たちは心からそう願っています。
創業から今日まで三百年。その間、時代の変化、時代の要求を敏感に取り入れて、
吉徳の人形も折あるごとに革新されてきました。「伝統」とは、まさにそうした「革新」の継続線上にこそ生じるものでありましょう。
企業が存続するのは、決して、単に伝統があるからだけではない。社歴の古さを誇りとする一方で、私たちは「革新」の二文字を常に肝に銘じながら、「吉徳大光」のブランドを高くかかげ、勇気を持ってあらたな時代に立ち向かっていこうと考えています。