吉徳これくしょん vol.08

 
浅草人形 助六

 今日、雛まつりに飾られる舞踊姿の人形や五月人形の多くは、かわいらしい子供顔が主流になっていますが、明治から大正にかけては、一部の愛玩用の人形や子役の人形を除いては、ほとんどが大人顔でした。

  子供顔人形の嚆矢となったのは、大正のはじめ、吉徳十世・山田 徳兵衛のプロデュースによって、柳沢 友寿 作の子供頭に津田 蓬玉が着付をして、発売された小型の衣裳着人形「浅草人形」であるといわれています。

  浅草人形は、古今さまざまな芝居や風俗をあらわした人形で、歌舞伎の登場人物や江戸の町人などが、みな子供の姿で作られていました。 小さいながらも細部まで丁寧に作られた浅草人形は、大人の趣味的なコレクションの対象としても人気があり、 のちに京都でも同様の人形が発売されるなど、人形界におけるヒット商品であるとともに、昭和戦前までの約30年間ほど続いたロングセラーでもありました

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