吉徳これくしょん vol.01

 
生き人形「道成寺」

 日本の絹の海外向け宣伝のため、絹織物の組合の依頼で吉徳が制作した人形の一体です。生き人形とは「生けるが如く」写実的に作られた人形で、江戸時代末期から明治にかけて見世物興行などで人気を博しましたが、現在は菊人形などにわずかに見られる他はほとんど廃れてしまった技法です。

  人形界で初の人間国宝となった平田 郷陽氏(二代)の父(初代 郷陽)は生き人形を作る職人でしたが、その技法は郷陽氏と弟の陽光氏、玉陽氏らに受け継がれ、郷陽氏が人形作家としての道を歩まれたのに対し、陽光氏は終生、市井の人形師として市販の高級品を作り続けました。本品はその陽光氏の作であり、氏が本格的に生き人形を手掛けたのは、実はこれが初めてだったといわれていますが、研き抜いた写実の技がみごとに生かされています。

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